食品ロス その3

 私たちにより身近な食品ロスとして、家庭系ロスを中心にこれまで書いてきました。今回は個人ひとりひとりでは、対策の難しい課題も抱える事業系ロスについて説明します。個人単位では難しいかもしれませんが、みんなで問題意識をもつことで、世の中が動くこともあります。
 事業系ロスは、食品製造業、食品卸・小売業、外食産業、といった産業が関わっています。
 このうち、外食産業については、我々個人も削減に貢献できることがあることは書きました。食べ残しロスの削減…食べられる量だけ頼む、食べ残しを減らす、料理の持ち帰りも検討する…などです。
 外食産業ではほかにも、食材が使われずに残ってしまったり、品切れを防ぐために過剰に料理を仕込んでしまって廃棄となる、ことなどが食品ロスとなります。
 食品製造業、食品卸・小売業が抱える食品ロスとはどのようなものでしょうか。
 まず、食品製造業では、印字ミスや重量や容量、パッケージが異なるなどの規格外品の廃棄、発注量に対して、欠品を出してしまって、ペナルティを科せられることを防ぐため、過剰生産をしてしまう、などが食品ロスとなっています。
 また、食品卸・小売業では、流通過程でおきる商品の汚損・破損、需要の見誤りによる売れ残り、旧パッケージ製品の撤去、などがあります。加えて、古くからの商習慣が足かせとなっている場合もあるようです。

 1/3ルールと言って、賞味期限の期間全体の1/3の日までに納品しなければならない「納品期限」を設定し、さらに2/3のところに「販売期限」を定め、その日に達すると撤去するという慣習があり、さらに食品ロスを増やしている側面があります。
 購買者が賞味期限間近の商品を避ける傾向があるとはいえ、見直す必要があるかもしれません。
 ほかにも商慣習としては、前日以前に納品した商品の賞味期限より古いものを納品しようとしても、拒否される場合などもあるそうです。

 このようにして出てしまう食品ロスを減らそうと、企業も取り組み始めています。
 1/3ルールなどの商習慣の見直し、賞味期限の年月日表示から年月表示化による納品・販売期限管理の緩和、需要予測の精度の向上で過剰生産、過剰調理の削減、フードバンク等の活用、などさまざまです。

 そして、これらの問題は業界内だけで解決できることではありません。1/3ルールのところに書いたように、「購買者が賞味期限間近の商品を避ける傾向」や「欠品に対してクレームする」といった消費者の意識も変わっていく必要があることは言うまでもありません。