いろいろな口腔粘膜疾患

 口腔粘膜疾患にはいろいろな種類の疾患があるので、全体感がつかみにくいですが、比較的症例の多い主な疾患を紹介します。
 白板症・紅板症…白板症は頬の粘膜や舌、歯ぐきなどにできる白い病変で、こすってもはがれないものを言います。悪性化するものも多いとされています。喫煙やアルコールによる刺激、義歯など機械的刺激、ビタミンA、Bなどの不足、加齢なども関係すると考えられています。
 禁酒禁煙、ビタミンAの投与で治癒することもあります。いろいろな口腔粘膜疾患悪性の可能性もあるので、生検(組織をとっての検査)は欠かせません。
 紅板症は舌、歯肉、その他の口腔粘膜に発生し、潰瘍ができたり患部が盛り上がったりして、境界明瞭な鮮紅色のビロード状になる病変です。
 白板症と同じくさまざまな刺激が原因とも言われています。50%前後が悪性化するとされていて、可能性が高いので、手術して切除するのが望ましいとされています。

 扁平苔癬(へんぺいたいせん)…白いレースのカーテンのような模様が生じたり、赤色または紫色の小さな隆起した発疹が現れる、かゆみを伴う再発性の病気です。正確な原因は不明ですが、アレルギー、とくに歯科用金属によるものや遺伝的素因、自己免疫疾患、ストレスなどの精神的因子、さらに代謝障害などの関与が考えられています。

 口腔カンジダ症…カビの一種であるカンジダ菌が異常増殖によっておこる口腔感染症です。急性型と慢性型があります。症状は、粘膜の表面に白い膜が点状や地図状に付着します。はがすと赤く腫れたり、出血したりします。舌の表面に腫れと萎縮が強くみられる場合や、ただれてしまうこともあります。
 通常は、口腔内の常在菌の一種で菌数もコントロールされていますが、副腎皮質ステロイド薬の投与や糖尿病、全身衰弱などによって免疫力が低下している状態、唾液量の減少、長期間にわたる抗菌薬の服用などにより、常在菌のバランスが崩れ発症します。治療には、抗真菌剤の入ったうがい薬、ぬり薬を使います。予防としては、疲労やストレスを避け、健康を保ち、抵抗力を弱めないようにすることが大切となります。

 アフタ性口内炎…直径数ミリ大の円形の浅い潰瘍で、表面は灰白色~黄白色の偽膜で覆われ、潰瘍の周囲は赤くなります。痛みは強く、4~7日間持続します。原因は不明で、機械的刺激、遺伝性、極端な疲労、ストレス、あるいは片寄った栄養摂取などいろいろな要素が絡み合って発症するといわれます。一般的な治療はステロイドを含有した軟膏の塗布などです。

 ほかにも、口腔乾燥症(ドライマウス)や、ヘルペス性口内炎、帯状疱疹などのウイルス性疾患などがあります。ご自身では何の病気か判断がつきにくいので、重症化する前に早めに病院・診療所で診てもらいましょう・