義歯性口内炎

以前のコラムでも書いたように、入れ歯といえども自分の歯と同様メインテナンスが大切です。入れ歯の洗浄を怠ったり、なかにはつけっぱなしのまま、何日も過ごす方など...。義歯性口内炎そんな方がかかってしまうことが多いのが今回の「義歯性口内炎」です。
義歯性口内炎は主に二つの要因から起こります。
ひとつ目は、お口の粘膜が入れ歯により圧迫されたり擦れたりする状態が長く続き、その結果、粘膜が炎症を起こし、発赤や炎症、潰瘍などができてしまうケースです。
主な原因は入れ歯の不具合です。歯の噛み合わせから起こる力が、歯茎全体にうまく分散できずにある箇所に偏ってしまう場合や、入れ歯と歯茎との間にすき間があるなど密着面が合っていない場合などです。
入れ歯は当初しっくりくるまで調整が必要ですし、歯茎がやせてきたときなど時間が経つとともに今までと違ってきて違和感を感じるようであれば、その場合も歯科医院で調整してください。
もう一つのケースは、入れ歯の裏側の歯肉と接する部分に歯垢(デンチャープラーク)がつき、そこに「カンジダ」という真菌が増殖して、口内炎を引き起こす場合です。
このケースの予防に有効なのは、まさにメインテナンスです。基本は、毎食後の洗浄です。義歯と残っている歯、そして歯肉をしっかりブラッシングして、口の中を常に清潔に保つことが重要です。歯が1本もなくても、歯肉のブラッシングは励行してください。入れ歯を外して、流水の下で専用のブラシで汚れを落とし、清潔に保ちましょう。歯と歯の間や、ばね部分は汚れがたまりやすいので、よく磨きましょう。さらにブラッシングだけではカンジタ菌を落としきることはできないので、数日に一度は入れ歯洗浄剤に浸けるようにするとよいでしょう。寝るときは、口内炎の予防だけでなく、入れ歯の変形・変質防止、疲れた歯茎を休ませるなどの意味からも、入れ歯を外して休みましょう

このように入れ歯ならではの病気もあるわけですが、正しく調整して、正しい使い方をしていれば、天然の歯に劣らない快適な食生活を送ることができます。年に1度ないし2度程度、歯科医院の定期検診を受ければ、常に入れ歯の状態を最適に保つことができるでしょう。