むし歯ができるまで
歯はつねに
唾液に包まれています。唾液は、そのときの状態によって、
酸性が強くなったり、中性に近づいたりしています。
口の中が酸性(PH5.5以下)の状態になり、そのなかに歯のエナメル質を溶かす酸が存在すると
歯は少しづつ溶けていきます。これを
脱灰といいます。
一方、唾液が中性に近づくと、唾液中の成分を取り込んで
再石灰化という作用が起こり、
溶けた部分を修復します。
虫歯の原因菌(=ミュータンス菌)は、食事をとると食物から糖を取り込んで
強い酸を形成します。このとき、口の中は酸性になっており、脱灰が起きます。
やがて、
唾液の持つ作用で酸は洗い流され、中性に近づき、再石灰化が進むはずですが、この
作用を妨げるものがあります。それが
歯垢(プラーク)です。
虫歯の原因菌は、その他のいろいろな細菌とともにプラークとなって歯にこびりつきます。
プラークは粘着性が
強くネバネバしていて、一度こびりつくと
口をゆすいだくらいでは、落とすことはできません。プラークには
唾液も浸透しにくく、付着している部分はつねに酸性状態が保たれ、
歯を溶かしてしまいます。
こうして誕生した虫歯は、最初はちょっとした歯のくぼみでしかなく、少し黒ずんでいる程度ですが、やがて、菌の進行は、歯の表面の硬い
エナメル質を溶かし、末端神経の通った
象牙質に到達することで、
痛みを伴う虫歯となります。
最初は冷たいものがしみる程度ですが、やがて神経を直接刺激する象牙質奥まで進むと、痛みは強まります。さらに進行が進んで歯髄に達して
歯髄炎となると、
ズキンズキンとした痛みに襲われることとなります。
歯髄炎が歯の根の方まで進んだり、歯髄の奥まで細菌が侵入すると、
歯根膜炎となり、
噛むこともままならなくなり、膿がたまったり、歯槽骨を溶かしたりすることとなるので、
歯を抜いて処置するしか方法がなくなることもあります。
ブラッシングを中心とした日ごろのケアで虫歯の発症を防ぎ、虫歯菌に侵されても
初期の段階で、プラークを取り除くための適切な処置を施して、虫歯が進行していくのを防ぐようにしたいものです。