ノンメタルで行こう

 歯の治療において、詰め物やかぶせ物として使われるのは、以前は銀歯や金歯といった金属が中心でした。しかし最近では、接着技術の向上や、セラミック素材の改善などにより、金属を使わない処置も多くなりつつあります。今回は「ノンメタル治療」「メタルフリー治療」などともいわれる金属を使わない治療についてみていきます。
ノンメタルで行こう ノンメタル治療とは、金属を使わないで治療するという意味で、もともと入っていた金属の詰め物・かぶせ物を取り外して、非金属のセラミックなどに置き替える治療などが多く行われています。
 わざわざノンメタルに替えるのには理由があります。
 まずは金属アレルギーを起こすリスクがなくなります。金属の詰め物やかぶせ物をしていると、口の中に金属がイオン化して溶け出し、これが唾液、タンパク質、口腔細菌と結合し抗原性(アレルギー性)を持つようになることがあります。花粉症などのほかのアレルギーと同じように、今まではなんともなかったのに突然発症したり、口の中以外の場所に症状が出たりすることもあるので、口の中の金属が原因と分かりにくいケースもあります。ノンメタルでは金属を使わないのでこのリスクはありません。
 次にガルバニー電流の影響です。口腔内に金属があると、口の中に微弱な電流が流れます。これをガルバニー電流といい、微弱な電流ではありますが、脳が混乱して、頭痛、疲れ、不眠、イライラなどの、神経症状を引き起こすことがあります。この症状も防げます。
 むし歯の再発のリスクも抑えられます。セラミック素材などは金属に比べ劣化を起こしにくく、歯と詰め物・かぶせ物との間にすき間ができにくいので、そこからむし歯になることを防ぐことができます。
 そして、審美的なメリットが最も大きいかもしれません。天然歯と見分けがつかないほどの自然な色味や透明感を再現することができるほか、金属が歯ぐきに溶けだして起こる歯ぐきの黒ずみの心配もありません。

 多くの処置は自由診療で費用が高くなってしまうノンメタル治療ですが、白く美しい歯をもたらすだけでなく、からだにも安心と考えて、選択肢に加えてみるのもよいかもしれません。