歯と歯ぐきとタンパク質

 タンパク質と言えば、いわずと知れた3大栄養素の一つで、炭水化物、脂質とあわせてからだの構成、健康に欠かせないものとされています。歯と歯ぐきとタンパク質
 一方で「歯」にとって、大事な栄養素は?と言えば、「カルシウム」を答える人も多いかもしれません。
 カルシウムはもちろん重要ですが、歯や歯ぐきにとって、「タンパク質」も大変重要な栄養素だとご存じでしたでしょうか。

 歯から見てみましょう。歯は「エナメル質」「象牙質」「セメント質」の3層構造でできていますが、そのうちの基質と呼ばれる「象牙質」や「セメント質」は、コラーゲン繊維状のタンパク質で形成されていて、繊維の筋の間にカルシウムが付着することによって、丈夫な歯が作られているのです。

 歯ぐき(歯周組織)の部分はどうでしょう。
・歯肉…歯肉のうち約6割は線維性タンパク質で、おもにコラーゲンで出来ています。
・歯根膜…線維成分のほとんどはコラーゲンです。
・歯槽骨…無機質成分を除いた骨の有機質成分は全体の1/3でその8割以上がコラーゲンです。
 このように歯ぐき部分の形成にもコラーゲン(タンパク質)が重要な役割を果たしています。

 さらに歯ぐきの特徴として挙げられるのが、その細胞の入れ替わりの速さです。多くの細胞は新陳代謝を繰り返し、成人だと約2年半ですべて入れ替わります。その周期は部位によって異なりますが、例えば皮膚で1か月、血液で100~120日、骨の場合は200日などとなっています。それに対し歯肉はわずか5日で入れ替わります。
 摂った栄養素の影響が出やすいので、毎日の食事で欠かさず摂ることが重要であると、おわかりいただけると思います。
 動物性タンパク質と植物性タンパク質をバランスよく、さまざまな種類の食べ物を摂ることを心がけましょう。