お酒飲みと歯の健康

 これまでも喫煙や、食べ物の好み、スポーツ飲料など、私たちが日ごろ口にするものと歯やお口の健康との密接な関係について、取り上げてきました。今回は、飲酒と歯の健康について、考えてみます。お酒飲みと歯の健康

 お酒と歯のことを考えると、まず、思いつきそうなことは、お酒を飲んでそのまま寝てしまうという行為です。
 これまでも何度も述べてきましたが、就寝前の歯磨きは口腔ケアの基本です。これを酔っぱらってしまって忘れたり、忘れないにしてもおろそかになってしまうようでは、よろしくありません。
 また飲み過ぎて嘔吐するほどだと胃液が上がってきて、歯を溶けやすくしてしまいます。過度の飲酒は慎みましょう。

 もうひとつお口によくないのは、アルコールの脱水作用により、口腔内の唾液が少なくなることです。
 二日酔いになると、喉がカラカラ、口の中がネバネバになってしまうことも多いと思います。これは、ふだんは、2種類分泌される唾液のうち、口を清潔に保つ洗浄作用をもたらすサラサラの唾液が十分に分泌されなくなるからです。ネバネバの唾液主体では汚れが取れにくいため、口腔内で菌が繁殖しやすくなってしまうことになるのです。

 もうひとつは酸蝕歯のリスクです。酸蝕歯とは酸性の食べ物・飲み物を取ることによって、歯が溶けてしまうことです。お酒は程度の差こそあれ、ほとんどが酸性で例を挙げると酎ハイ(pH2.5前後)、赤ワイン(pH2.5~3)、ビール(pH4)、 日本酒(pH4.5)、ウイスキー(pH5.0)などとなっています。加えてお酒を飲む場合は食事が長時間になることも多く、このこともお口のなかを酸性状態に長く保つということでさらにリスクを高めています。

 適度の飲酒は健康によく「百薬の長」とも言われるくらいなので、くれぐれも過度の飲酒には注意しましょう。