フレイルについて

 高齢化社会が急激に進むなかで、「フレイル」という言葉が使われはじめ、よく聞かれるようになってきました。
 あわせてお口まわりに関しては「オーラルフレイル」という言葉も出てきて、お聞きになったことがある方もいらっしゃると思います。
 お口まわりに関連するのは「オーラルフレイル」なのですが、「フレイル」の意味を理解することで、「オーラルフレイル」のことがより分かりやすくなるので、「フレイル」のことから書いてみます。
「フレイル」は英語の「Frailty(フレイルティ)」という言葉からきており、「虚弱」や「老衰」といった意味で、老年医学の分野では「加齢により心身が衰えた状態」のことを言います。
健康な状態と要介護状態の中間」を意味しており、健康な状態に回復させることができる状態であり、早期発見・早期支援により適切なタイミングで支援を受けることが大切とされています。

「フレイル」は主に3つの側面から、その兆候があらわれます。
 一つ目は「身体」のフレイルです。加齢とともに骨や関節、筋肉など運動器が衰え日常生活に支障が出てくることをいいます。
 二つ目は「こころ」のフレイルです。物忘れが多くなったり、新しいことを覚えることが苦手になってきたりすること(認知機能の低下)や、うつや無気力な状態になってしまうことを指します。 
 最後が「社会性」のフレイルです。1人で食事を食べる「孤食」、外出するのが億劫になる「閉じこもり」などです。

 これらの3つの側面はお互いに結びつきがあります。運動機能の衰えが、外出する気力を無くしてしまうといったことや、「孤食」によって食事量が少なくなって、筋肉の衰えにつながったり、ひとりでいることや人と話す機会が少なくなってしまって、認知能力が弱くなったりといった具合です。

「フレイル」は、健康な状態に回復させることができる状態です。健康長寿のためにフレイル対策として、大切な3つの柱があります。栄養(食・口腔機能)・運動・社会参加です。お互いに結びつきがあるのでうまくリンクさせて自分の生活サイクルに組み入れていくことが大切です。
 栄養ではバランスの良い食事、会話のある楽しい食事、そして口腔ケアで生活の活力を得ます。
 運動では少しの運動でも継続的に行うことで体力や筋力の低下を防ぎます
 社会参加では趣味やボランティア、就労などに積極的に参加することで、こころに張り合いを持つことができます。

次回コラムで「オーラルフレイル」について書いてみたいと思います。