正しい噛み方
これまで、このコラムでも「よく噛みましょう」ということを何度か書いてきました。
よく噛んで食べ物を細かくかみ砕けば、
消化も良くなり内蔵の負担を減らし、一緒に出る唾液も消化を助けてくれます。その
唾液はお口のなかを洗浄してくれるうえ、酸も中和してむし歯を防ぎます。
よく噛んでゆっくりとした食事になれ
ば食べ過ぎを防ぎダイエット効果もありますし、噛むことで
脳は刺激され、老化防止やストレス解消にもなるといわれます。
今回はさらに一歩突っ込んで、正しい噛み方について考えます。正しい噛み方でよく噛めば、鬼に金棒というわけです。
まず噛むときの
姿勢です。猫背で前かがみにならないようにします。お子さんなどが椅子に座って食事する場合は、
足が宙ぶらりんになっていると猫背の姿勢になりやすいですし、噛む力が出ません。
足の下に台などを置いてしっかり踏ん張れるようにします。
地に足をつけ、背筋をのばして、姿勢良く、頭を上げ、前をむくというイメージです。
口はしっかり閉じて噛むようにします。口を閉じていないと、飲み込むときの舌の押す力で
歯が前の方に押されてしまいます。上の歯を押すクセがあれば出っ歯に、下の歯を押すクセがあれば受け口になります。
口を閉じる力が弱いと日常も口が開いてしまい、
口呼吸になってしまいます。
左右両方でバランスよく噛むことも大切です。どちらか片方の顎でばかり噛んでいるとよく噛む方の歯は、
傷みが早くなります。また片方の筋肉が引き締まり、もう一方の頬の筋肉は緩み、
顔のバランスが崩れます。
歯並びにも歪みがおき、顎がカクカクと鳴ったり、口が開きにくくなる
顎関節症になることもあります。
もう一つ大事なことは、
すりつぶす噛み方です。私たちの奥歯は、元々内側に傾いて生えてきます。しかし、牛の反すうのようにもぐもぐと顎を横に動かして、すりつぶす噛み方をすることによって、上下の歯がかみ合い、歯列が立ってくるのです。
その結果、お口の中の歯列のアーチが数ミリ程度広くなり、
きれいな歯並びになってきます。
最近の食べ物はよく噛まなくても、また横に動かしてすりつぶすように食べなくても、簡単に飲み込めるやわらかい食べ物が多くなっています。
噛みごたえのあるものを食べたり、やわらかい食べ物でも意識して正しい噛み方で食べることで、より多くの健康を手に入れましょう。