噛むこととアンチエイジング


 皆さんも子供のころ、ご両親から「よく噛んで食べなさい」などとしつけを受けた記憶があるかと思います。よく噛むことが唾液の分泌を促し、消化を助けるなど体に良いことは皆さんご存知だと思います。今回はなかでも噛むこととアンチエイジング(老化防止)に焦点をあてて、見ていきたいと思います。
噛むこととアンチエイジング 人が老いを感じるきっかけは、目と歯、口が多いそうです。
老眼になったり、歯を失って入れ歯を入れたり、目元、口元のたるみが気になりだしたり、といったことでしょうか。
そのなかのひとつ、「たるみ」は、顔の筋肉が衰えてたるむとその上の皮膚もたるむということから起こります。
 よく噛むことは、口の周りや顔の筋肉を多く使い鍛えるということです。このことでたるみが減り、表情がひきしまります。
 歳を重ねると噛む力が弱くなり、唾液の分泌も減ります。よく噛むことで唾液の分泌が増やせば、老化防止につながります。口腔内が清潔になるとともに、唾液中のリゾチーム、ラクトフェリンなどの物質が歯周病菌など細菌の増殖を防ぎ、口臭も減ります。もう一つの唾液中の成分、パロチンには骨や皮膚、目などの働きをよくし、糖尿病や動脈硬化を防ぐ働きがあると言われています。

脳を活性化させる効果もあります。よく噛むことで脳の血管が拡張して血液の流れがよくなり、反射神経や記憶力、認識力、判断力、集中力なども高まり、ボケや痴呆症対策にもなります。食べるという行為自体も、歯ごたえや喉ごしといった食感、香り、見た目の美しさなどを脳をめいっぱい使って味わうことです。これらも脳によい刺激を与え活性化させているでしょう。

アンチエイジングと直接は関係ありませんが、ストレスをコントロールする方法の一つにガムを噛むというのがあります。スポーツ選手が競技中にガムを噛んでいるあれです。ガムを噛むというリズミカルな運動により、精神を安定させる作用があるセロトニンという神経伝達物質が増えることでストレスをコントロールします。よく噛んで食べることもリズミカル運動でセロトニンを増やす効果があります。よく噛んで食べてストレスを発散し、老け込まないようにできるかもしれせん。

よく噛むためには「よく噛めること」も重要になってきます。入れ歯やその他の原因で噛み合わせが悪いと、歯が残っていてもうまく咀嚼できません。入れ歯であればよく噛めるように噛み合わせを調整してもらいましょう。